Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.757 Zeichen · 375 Bildschirme

Aozora Bunko

妄信迷拝と見るには、余りに真摯で素朴な涙だった。涙は、彼らの大安心から溢れ出ているものだからである。

(この御方の下に住めばこそ)

と思う大いなる感謝。また、

(国にこの人あれば)

となす真っすぐな信頼。――今日も明日も、先知れぬ戦国の生涯も、一切、秀吉のふところに、まかせきっている民だったのである。

この地方も、応仁以後の暗黒乱麻な時代的苦難の長い流れの外ではなかった。今の老、壮、青年はみなかつての久しい血と飢餓の中の漂いを身に知っている。

かつての不安時代には、今夜のように、土下坐したくも、心から仰ぐ人がなかったのだ。忽ち来て忽ち去る私兵的勢力か、また、それを掃討して国守群守と称する者が現われても、徳なく威なく長計なく、ただ民に拠り民に媚び、汗税の追求のみを能とした。為に、下また上をあげつらい、吏の非違やお互いの悪ばかり見つけあった。当然、これは亡び去る。そしてまた、同じような国守が立ち同じように滅亡してゆく。――が、果てしれぬ不幸はむしろ民自体の中にあった。心から尊敬して土下坐する者を持たない民は、同時に、心からな安心を持つことができないからだ。