Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.757 Zeichen · 375 Bildschirme
「一頃からみれば、近頃は、金剛力ぞ」
「ま。お肌着をはやく」
「待て待て」
「何の、お真似ですか」
「知らぬか。角力取りの四股を。――寧子、一番とろうか」
侍女たちはおかしさに、口を抑え、ククククと苦しがった。
これが五十近い御夫婦かと、あきれ顔の目と目を見合わせるのであった。
彼の家族は馴れている。むかしから秀吉の私生活は、時間は極りなしである。寝食出入、ただ時による。きょうの定めは、あしたの例でなく、あしたの予定は、決して、あしたの規則ではない。
すべてを、公生活に基づけ、私生活は、その隙間のこと、時雲の緩急とにらみ合わせ、自由自在としているのである。
自然、日々変化が多い。きのうは虱に頸を蝕わせ、きょうは一浴に王者の快を思う。
こよいも、土圭の間の土圭はすでに、丑(午前二時)を報じている。――が今、湯殿から出て来た秀吉は、さあこれからといわぬばかりだ。さばさばと改まった血色を、ふたたび老母の部屋の燭に見せて、
「どれ、すぐ戴こう。秀吉、お腹が減りました」
という。
はや、膳部の前に座を構えて、杯をもつ、汁を吸う。箸を取る。また杯を挙げる。せわしいことであった。