Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
Lesen Sie 新書太閤記 (しんしょたいこうき) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 187.757 Zeichen · 375 Bildschirme
それが気に入らぬでもあるまいが、動くのが面倒といった顔つきで、
「これへ持て。膳も一緒に持って来い」
と、広間の真ん中に膝交えの座をさだめ、
「まずは」
と、屠蘇を酌み交わし、吉兵衛へも、みずから酌して、さて、正月はこれからというように、
「久しぶりよ。さあ、飲ろうぞ。更くるまで語ろう」
と、ゆたかに坐りこんで見せた。
大書院の隅のほうへ、その時、侍女らしい者が手をつかえていた。――また寧子からの使いであった。御老母さまも北の御方もお膳につかれず待ちわびておられますが……というのである。秀吉はこっちから大声で云った。
「さきに喰べいといえ。先に。――わしを待っておると、夜半になるか朝になるか知れぬぞと申せ」
「晩くに罷り出て、申しわけおざらぬ」
官兵衛は、奥の者の気づかいと、秀吉の心からな歓待を知って、すまない顔をした。
「何の、何の」
秀吉はそうは思わせてはならないように、われも酌み、彼にもすすめ、
「近頃、脚はどうか」
と、たずねた。
官兵衛は、悪い方の片膝を撫して、
「寒さとなると喃――」
と、ちと痛める容子を見せた。それに対し秀吉が、どこかへ入湯でもしては――とすすめると、彼は、ほろ苦い笑みを口辺にゆがめた。