Japanische Klassiker mit Furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Lesen Sie 新潮記 (しんちょうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.541 Zeichen · 305 Bildschirme
ほとんどその直後のことだ、おそらくそれまで必至の機会を覘っていたのであろう、秀之進が踵をかえして、五歩とはゆかぬうち、うしろへ人のけはいがしたと感ずるより早く、非常な勢いでかれの背へ斬りつけた者があった。
秀之進は本能的に道の左がわへ跳び、二の太刀に備えながら大剣の柄に手をかけた。闇討を仕掛けた者も無言、秀之進も声を出さなかった。――誰だろう、暗い道のうえをすかし見ながら秀之進はじっと眸を凝らした。
相手は二間あまり先に立っていた。初太刀を仕損じたので苛だっているらしい。下段に構えている切尖が、まるで獲物にとびかかろうとする蛇のように波をうっていた。
秀之進は久木直二郎との立合いを思い出した。「水戸っぽう」という言葉もあたまへうかんだ。つい今しがたの、小四郎少年の自分に対する疑惑の態度も思いかえされる。
――水戸というところは荒っぽいな、そう思った。――だがこいつは、本当におれを斬るつもりらしいぞ。
かれは打ちこんで来たらこうと抜刀の機をはかりながら呼吸をつめていた。……向うから走って来る人の足音が聞えた。
走って来た人の足音は、四五間さきでぴたっと止った。