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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

Lesen Sie 新潮記 (しんちょうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.541 Zeichen · 305 Bildschirme

Aozora Bunko

ている。

――これはなかなかの娘にちがいない、大助は心のなかでそう思った。いったいどういう身の上だろう、武家には相違ないが、こんな所へ兄妹だけで籠っているところをみると、親類とか縁者とかといった者もないのだろうか。

「兄上さまお疲れになります」娘は大助が兄の話を聞いていないのを察したのであろう、ちょっと不快そうに眉をひそめながら、そっとすり寄って兄の肩を抱えた、「どうぞすこし横におなりあそばせ」

そのとき折よく、「大さん飯が出来たよ」秀之進が呼んだので、大助はいいしおに会釈して兄妹のそばから離れた。

熱い味噌雑炊をすすりながら、秀之進は相変らずなにもいわないけれど大助は疲れも飢えも忘れるほど、このふしぎな兄妹のことに心を奪われていた。……岩屋のそとには風雪がたけり狂っていた。引戸の隙間がひゅうひゅうと悲鳴をあげ、時々さっと粉雪さえ舞いこんで来るが、燃えさかる炉の火熱で小屋の中は汗ばむほど暖かかった。……妹は兄をようやく寝かせ、その枕もとに坐ってじっと顔を見まもっている。すすけた髪、疲労のかげの濃い頬、憂いを刻んだ眉、貧しい木綿物の衣服、大助は絶えずそっちへ眼をやりながら、胸が重くなるほど哀憐の情に駆られた。