Japanische Klassiker mit Furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Lesen Sie 新潮記 (しんちょうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.541 Zeichen · 305 Bildschirme
しかし誰も彼も梅田には気にいらぬようだ。みんな口ばかりで、実行力のない、御都合主義の連中ばかりだと云った。
「東湖東湖と世間では大騒ぎをするが」とかれは続けた、「あれも拙者などに云わせると売名上手の肚なし書生だ、回天詩史の中に『即ち直に夷人の舎に入り臂力を掉ひ、夷虜を鏖にし』といい、また別に『宝刀未だ衂らず洋夷の血』とか『三たび死を決して而も死せず』とか、なかなかいうことは壮烈だけれども結局は云うばかりだ、しかもつきつめて訊くと攘夷の事は行い難しとさえ本音を吐いている」
「それは事実ですか」
誇張もすぎてはいけないという気持で、秀之進がそう反問した。しかし梅田はあながち誇張したのではないようだった。
「事実だとも、拙者がどこまでも追求してゆくとついにそう云った、攘夷は即座に断行できるものではない、攘夷の議に拠ってまず国論民心を統一し、人物武備が万全となってからでなくてはならぬと」
それは事実かしらん、秀之進はもういちど疑ってみた。するとそのときふと、常陸の海辺で久木直二郎と議論をした加地という青年の説を思いだした。加地はあの時、――天文のむかし夷狄は鉄砲をもたらしただけだが、今かれらはあらゆる科学文明の成果をひっさげて来ている、徒らに撃ち払い令を出しただけでは、もはやかれらは黙ってひきさがりはしないのだ、と云っ