Japanische Klassiker mit Furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Lesen Sie 新潮記 (しんちょうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.541 Zeichen · 305 Bildschirme
「なんだか、わけがわからない、若旦那、なにか粗相でも致しましたんですか」
「猿芝居はよせ、おまえ自分がどんな顔をしているかわからないのか、江戸っ子ならみれんなまねはするな、誰にたのまれたか云えばいいんだ」
「だってあたしは、決して」
「大さん勘弁してやり給え」千吉郎がついに笑いだした、「寒竹先生じゃ張合がなさすぎるよ、頼んだ相手はわからないが、こんな男を本気で使うようでは多寡が知れている、いいから放してやり給え」
「わたくしは構いませんが、貴方がたにご迷惑がかかるといけませんから」
「大さんにも似合わない、そんなことが心配で仕事ができるものか、みんないざというときの覚悟はできているよ、寒笑ごときの密告によらずとも、われわれの首を覘うとなればいくらも材料はあるんだ、可哀そうに死ぬほど蒼くなっているじゃないか、寒竹先生、もういいからいけいけ」
「へえ……どうも、どうも」
寒笑は罠を脱した狐のように逃げだそうとした。大助が呼びとめた。
「おい、大河さまにお礼を申上げないか、おまえ首がないところだったんだぜ」
「へえ……どうも、大河の旦那」
寒笑は口が利けなかった。まるで消えるようにとびだしてゆくかれを見送って、一座の人々は憎めない奴だと笑いだした。