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Japanische Klassiker mit Furigana

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しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

Lesen Sie 新潮記 (しんちょうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.541 Zeichen · 305 Bildschirme

Aozora Bunko

宗兵衛はじっと秀之進の眼をみつめた。なにかをさぐりだそうとする眼光である。

「おれに代ってやると申すが、かれらにそれができると思うか、勤王とか攘夷とかたやすく云うが、譜代の主を持ち家族のある者には、そうやすやすと越えられぬ障碍があるぞ」宗兵衛の声は重かった、「武士は主君の御馬前に死ぬということを至上とする、そのために親代々、食禄を賜わり扶持されてきた、これはもはや掟でも命令でもなく、血そのものに流れている伝統だ、理論ではいくらも勤王を叫ぶことができよう、しかしいざ起って行動に移ろうとすれば、必ずこの壁につき当る、問題はおのれ一個ではないのだ、血のなかに生きている父祖三百年の伝統が前へたち塞がるのだ、これはただ踏み越せばよいという単純なものではない、かたちのある物ならうち壊しもしよう、眼に見えず手に取れぬ障碍は壊しようがない、かれらはそこを考えているか」

「たしかに、それは現在の青年たちにとってなにより大きな苦痛だと思います、親兄弟を飢死させることは忍んでも『主君の馬前に死ぬ』という伝統の血を否定することは容易ではありません、その苦痛の大きさは充分に認められなければならぬ点です、けれども」