Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

Lesen Sie 新潮記 (しんちょうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.541 Zeichen · 305 Bildschirme

Aozora Bunko

た、あたしなんぞには縁のないもの、違う世界のことだというふうに思っていました、どんなに厳しくとも芸の道は自分を出ないんです、世間を知らないことが自慢になるぐらいなんですから、……あたし本当に自分たちと貴女がたの違いを悟りました」

「まあ、そんなことはございませんですよ、人はそれぞれ身の上も生き方も違うのですから」

「いいえそうじゃあございません、町家育ちでもみんながみんなとは云いませんけれど、ああいうようにすぐ心をきめることはむつかしゅうございます、どんなことがあるかわからない道中、それも初めての旅へ女ひとりで……ふだんきちんと行儀を厳しくしていらっしゃるのも、こういうときのためなんですね」梅八はほっと太息をついた、「人間はふだんの気持が大切だ、三味線や唄、踊りなどという芸の道でも、ふだんの心の行儀はなにより大切に云われています、そしてあたしも、自分ではその行儀を忘れずに生きて来たと思っていました、けれどもこんどというこんどは気がついたんですよ……あたしの芸は自分だけのためのものだった、世の中がどうなろうと、自分は自分の芸だけ考えていればいい、いいえそれどころか、世の中がこんなにひどくなって、自分の芸をわかって呉れる方が無くなったなどと、勝手なぐちをこぼしたりしていたくらいです、そんなことだから……」