Japanische Klassiker mit Furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Lesen Sie 新潮記 (しんちょうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.541 Zeichen · 305 Bildschirme
若い家士は奥へ取次いで戻り、どうかおあがり下さいといった。
「いやそうしてはおられぬ」客はいらだたしげに拒んだ、「早急の用件だから此処で失礼する、お手間はとらせません、どうか此処までおはこび下さるよう、水戸の魁介だと申して下さい」
取次ぎはまた奥へいった。
宗兵衛はすぐに出て来たが、玄関へはゆかず、秀之進の部屋へはいって一通の書状をさしだした。坐らないで中腰になったままだった。
「ではこれを藤田どのへ持ってまいるがよい、また来客なので……失礼する、ゆっくり話もできなかったが……こういう事情だから」
「お手数をかけました」
秀之進はすぐに立とうとした。
宗兵衛は急にそわそわしだし、なにか云いたがる。しかしなにを云ってよいかわからないもどかしげな、一種の苦しそうな表情を示した。
「それで、水戸へゆくと、藤田どのには、わしからもよろしくと伝言をたのむ」
「承知しました」
「では……」そう云うと、自分のそわそわしたことに腹を立てたとでもいうような、ひどくむっとした態度で玄関へ出ていった、「やあ魁介さん、どうなすった」
「おとつい出て来ました」
元気のいい声で、例の突っかかるような調子でそう云うのが聞えた。