Japanische Klassiker mit Furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Lesen Sie 新潮記 (しんちょうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.541 Zeichen · 305 Bildschirme
「へえ……」雨戸と障子を明け放した下女は、寝ぼけたような声でうっそりと答えた、「いま一人お客さんがはいってたすけど、もう出るところだったでようございましょ」
「すっかり汗なんだ、とにかく伴れてって貰おう」
手早く裸になって、急きたてるように廊下へ出た。階段を下りて左へ曲る。四つ五つ部屋の並んでいる前を通って突当ると、そこの右側の戸が風呂場だった。
「よしわかった、こっちはいいから襦絆をひと濯ぎして置いて呉れ」
こう云って下女を返したとき、そこの杉戸が明いて風呂場の中から出て来た者がある。これが先客だなと思い、道を譲りながら相手を見た大助は、びっくりしたようにこれはこれはと声をあげた。
「新島さんじゃありませんか、珍しい処でお眼にかかりますね」
「……」相手は恟っとした、まるで殴られでもしたような感じで、首だけ後ろへついと反らせた、「……ああ、太橋か……」
「どうなすったんですこんな処へ、御用ででもいらっしゃったんですか」
「なにそうでもないが」相手はようやく立直ったという顔つきで、じろっとこちらを見上げ見下ろした、「それよりそっちはどうしたんだ、こんな処へ商用という訳でもあるまいが」