Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんちょうき

新潮記

山本 周五郎

Lesen Sie 新潮記 (しんちょうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.541 Zeichen · 305 Bildschirme

Aozora Bunko

にはお上(頼胤)と御同列で水府の後見をなすった殿さまですね、そう考えると縁のふかい土地だ、あなたなどは御家中にお知合でもあるんじゃないのですか」

「……えっ」

どうしたのか八十吉はぎょっとしたようにふり向いた。

「なにをそんなに驚くんです。甲辰のときにはいろいろ此処と往来があったのでしょう、あなたは滝川御老職の御家来だもの、此処にお知合のあるのは当然じゃありませんか」

「……なるほど」ふいと八十吉は微笑した、「なるほど、たしかに当然その筈だった」

「いま思いついたんですか」

「いま思いつきましたね」なぜか八十吉はにわかに活き活きとしはじめ、手を伸ばして小机の上にある硯箱の蓋をとった、「獲物を追う猟師地理を見ずか、どうもばか正直でいかん、早く気がつけばなんのことはなかったのに……」

「それはどういうわけです」

「実はね」くっくっと八十吉は喉で笑った、「土浦で少し遣いすぎて旅費が無くなったんですよ、それだもんで江戸へ帰ろうか、旅費をとりよせようかと迷っていたわけなんだ、なんのことはない、此処によく知った知人がいるんだ、おかげで苦労をなくしたというしだいさ」

「わたくしでは間に合いませんか」