Japanische Klassiker mit Furigana
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しんちょうき
新潮記
山本 周五郎
Lesen Sie 新潮記 (しんちょうき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.541 Zeichen · 305 Bildschirme
「火事になって、足もとまで燃えついてきたときに、きさまは火事の原因を調べるほうがさきだというのか」
久木直二郎は叩きつけるように云った。
「加地の云うこともわかるが」と渡が口をんだ、「それは多く機械論だと思うな、なるほど異国人の事情を究めることは必要だ、けれどもそれは時と場合による、久木の云うように火は足もとへ迫っているんだ、うっかりすると鴉片戦争の二の舞をくう、うっかりするとじゃない、それはすでに目前に迫っているんだ、われわれが夷狄撃攘を叫ぶのは、それが目前に迫っている事実だからなんだ」
「それは本当だよ」加地は少し蒼くなった、「それは本当だけれども、その目前に迫っている事実を打開するのは単純ではない、おれはそこを云うんだ、ただ迫って来る夷狄を撃ち払うだけでは事実は解決しない、一艘や二艘の異国船は撃ち払えるだろうが、動いている世界の波を撃攘することはできぬというのだ、それができると思うのは蒙昧だというんだ」
「ではいったいどうしろと云うんだ」
「そんなことが簡単に云えるものか」
「簡単に云う必要はない、時間はいくらでもあるんだ、蒙昧でないきさまの意見を聞こうじゃないか……」