Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
(十二月×日)
朝の寝床の中でまず煙草をくゆらす事は淋しがりやの女にとってはこの上もないなぐさめなのです。ゆらりゆらり輪を描いて浮いてゆくむらさき色のけむりは愉しい。お天陽様の光りを頭いっぱい浴びて、さて今日はいい事がありますように……。赤だの黒だの桃色だの黄いろだのの、疲れた着物を三畳の部屋いっぱいぬぎちらして、女一人のきやすさに、うつらうつら私はひだまりの亀の子のようだ。カフエーだの、牛屋だの、めんどくさい事よりも、いっそ屋台でも出しておでん屋でもしようかと思う。誰が笑おうと彼が悪口を云おうと、赤い尻からげで、あら、えっさっさだ! 一ツ屋台でも出して何とかこの年のけじめをつけてみたいものだ。コンニャク、がんもどき、竹輪につみれ、辛子のひりりッとしたのに、口にふくむような酒をつかって、青々としたほうれん草のひたしですか、元気を出しましょう。だが、あるところまで来ると私はペッチャンコに崩れてしまう。たとえそれがつまらない事であっても、そんな事の空想は、子供のようにうれしくなるものだ。
貧乏な父や母にはすがるわけにもゆかないし、と云って転々と働いたところで、月に本が一二冊買えるきりだ。