Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんぱん ほうろうき

新版 放浪記

林 芙美子

Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme

Aozora Bunko

私は浅ましくもうれし涙がこぼれそうだった。氷と数字、赤や青の直線、簿記棒で頭をコツコツやりながら、でたらめな数字を書き込んだのが恐ろしくなっている。

帰ってみたら電報が来ていた。

シュッシャニオヨバズ。

えへだ! あんなに大きい数字を毎日毎日加えてゆかなくちゃならない世界なんて、こっちから行きたくもありませんよだ。成金になりたい理想も、あんな大きな数字でへこたれるようでは一生駄目らしい。

(六月×日)

二階から見ると、赤いカンナの花が隣の庭に咲いている。

昨夜、何かわけのわからない悲しさで、転々ところがりながら泣いた私の眼に、白い雲がとてもきれいだった。隣の庭のカンナの花を見ていると、昨夜の悲しみが又湧いて来て、熱い涙が流れる。いまさら考えて見るけれど、生活らしいことも、恋人らしい好きなひとも、勉強らしい勉強も出来なかった自分のふがいなさが、凪の日の舟のように侘しくなってくる。こんどは、とても好きなひとが出来たら、眼をつぶってすぐ死んでしまいましょう。こんど、生活が楽になりかけたら、幸福がズルリと逃げないうちにすぐ死んでしまいましょう。

カンナの花の美しさは、瞬間だけの美しさだが、ああうらやましいお身分だよだ。