Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
街では星をいっぱい浴びて、ラジオがセレナーデを唄っている。
私の袂には、エプロンがまるまってはいっている。
夜の曲。都会の夜の曲。メカニズム化したセレナーデよ、あんなに美しい唄を、ラジオは活字のように街の空で唸っている。騒音化した夜の曲。人間がキカイに食われる時代、私は煙草屋のウインドウの前で白と赤のマントを拡げたマドリガルと云う煙草が買いたかったのだ。すばらしい享楽、すばらしい溺酔、マドリガルの甘いエクスタシイ、嘘でも言わなければこの世の中は馬鹿らしくって歩けないじゃありませんか――。さあ、みんなみんな、私は何でもかでもほしいんですよ。
時ちゃんは文学書生とけんかをしていた。
「何だいドテカボチャ、ひやけの茄子! もう五十銭たしゃ横町へ行けるじゃあないか!」
酔っぱらった文学書生がキスを盗んだというので、時ちゃんが、ソーダ水でジュウジュウ口をすすぎながら呶鳴っていた。お上さんは病気で二階に寝ている。何時も女給達の生血を絞っているからろくな事がないのよ。しょっちゅう病気してるじゃないの……こう言ってお由さんはお上さんの病気を気味良がっていた。
(六月×日)