Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
疲れてドロドロに汚れた黒いメリンスの衿に、垢と白粉が光っている。私は子供のように自分の匂いをかぎました。この着物で、むかし、私はあのひとに抱かれたのです。あの思い! この思い! 蒼ざめて血の上って来る孤独の女よ、むねを抱いた両手の中には、着物や帯や半衿のあらゆる汚れから来る体臭のモンタージュなり。
私はこのすばらしいエクスタシイを前にして、誰に最後の嘲笑さるべき手紙を書こうかと思った。Aにか、Bにか、Cにか……。シャックリの出る私の人生観を一寸匂わしてね。面白い興奮だと思う。「ね、こんなに、私は貴方を愛しているのに……」古新聞の上に散らかった広告の上には、一寸面白いサラダとビフテキのような名前がのっていた。三上於菟吉なんて一寸エネルギッシュでビフテキみたいたが、これも面白い。吉田絃二郎なんて、菜っぱと小鳥みたいなエトランゼ。私は二人へ同じ文章を書いてみようと思った。
海ぞいの黍畑に
何の願いぞも
固き葉の颯々と吹き荒れて
二十五の女は
真実命を切りたき思いなり
真実死にたき思いなり
伸びあがり伸び上りたる
玉蜀黍は儚なや実が一ツ
ああこんな感傷を手紙の中にいれる事は止めましょう。