Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんぱん ほうろうき

新版 放浪記

林 芙美子

Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme

Aozora Bunko

根津のゴンゲン様の境内で休む。

ゴンゲン様は何様をおまつりしてあるのかしらない。ただあらたかな気がする。気がやすまる。鳩がいる。震災の時、ここで野宿をした事を思い出す。

根津のゴンゲン裏にかつぶしを売っている大きい店がある。ここの息子が根津なにがしとか云う活動役者だそうだ。まだ一度も見たことがないけれど、定めしよい男なのであろう。千駄木町へ曲る角に、小さい時計屋さんがある。恭ちゃんの家の前を通って医専の方へ坂を上ってゆく。夜になるとここはお化けの出る坂。

昼の霧 香ばしき昼の霧

わがははの肩のあたりの霧

爪は語らず

陽もまばゆくて昼の霧よ

五里霧中のなかに泳ぐ

女だるまのすすりなく霧。

ああさんたまりあ

裸馬の肌えに巻く霧

昼の霧はバットの銀紙

すさのおのみことの恋の霧

金もなき日の埃の綿

つむぎ車のくりごとよ

昼の霧 哀しき昼の霧。

急に四囲の草木が葉裏をかえしたような妙な空あいになり、霧のようなものが立ちこめてみえる。坂の途中の電信柱に凭れてみる。しんしんと四囲に湯茶の煮えるような音がする。真昼の妖怪かな。私はおなかが空いたのよ。

急に体じゅうがふるえて来る。どうして生きていいのか腹が立って来る。