Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
私は小さい火鉢に、昨日のどんど焼きの灰を入れて火を入れる。やがて、湯がしゅんしゅんとわく。茶の葉もないので、べんとうの梅干を入れて熱い湯を母へ飲ませる。
父は輪島塗りの安物を仕入れたので、それを東京で売るのだそうだ。東京には百貨店と云う便利なものがあるのを知らないのだ。夜店で並べて売ったところで、いくらも売れるものではない。私は困ってしまう。うで玉子を一つむいて食べる。あとは男へ食べさせてやりたい。
「東京も不景気かの?」
「とても不景気ですよ」
「どこも同じかのう……」
梅干をしゃぶりながら母が心細い顔つきをしている。今度の男さんは、どのような人柄で、何の商売かとも母は聞かない。非常に助かる。聞かれたところでどうしようもないのだ。母はからの茶筒に手拭をあて、暫く眠った。口を開けて気持ちよさそうに眠っている。昼過ぎになって野村さん戻って来る。
母を引きあわせようとする間をすりぬけて、机へ向いて本を読み始める。母と私は台所の板の間に座蒲団を敷いて坐った。湯をわかしてうで玉子を四つにネーブルを二つ、机のそばへ持って行って、おみやげですよと云うと、只、ほしくないよッときつく云って、みむきもしない。