Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
ああ、チップとは何でしょうかね。お乞食さんと少しも変らない。全身全力で「ねえ」と云わなければならぬ商売。ものを書いてたつきとなるなぞ、ああ遠い。もう眼がみえませぬと臭い便所の中で舌を出してやる。ものを書くなぞと云う希望なぞはない。何も出来っこはない。詩を書くなぞとは愚の骨頂だ。ボオドレエルが何だって? ハイネのぶわぶわネクタイは飾りものなのよ。全く、あのひと達は何で食べていたのかしら……。
ヌウザボン、ブウサベエだ。パルドン、ムッシュウ。ちょいとごめんなさいねと云う言葉だそうですね。
おかみさんに、羽織をかたにして二円借りる。一円五十銭をおっかさんにやって、電車道の富の湯へ行く。大きい鏡にうつったところはまず健康児。少しも大人らしくない、くりくりとした桃色の裸。首から上だけがお釜をかぶったようないでたち。女給さんがうようよとはいっている。しゃべっている。三助が忙わしそうに女の肩をぽんぽんと叩いている。滝のあるペンキ絵。白粉や産院の広告が眼につく。何日ぶりで湯にはいったのかとおかしくなる。
街は雪解けで仄明るい街のネオンサインが間抜けてみえる。かりの名をまず淀君としようか。