Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
(六月×日)
前はライオンと云うカフエーで、その隣りは間口一間の小さいネクタイ屋さん。すだれのようにネクタイが狭い店いっぱいにさがっている。
今日で四日目だ。
三行広告受付で忙がしい。一行が五十銭の広告料は高いと思うけれども、いろんな人が広告を頼みに来る。――芸妓募集、年齢十五歳より三十歳まで、衣服相談、新宿十二社何家と云う風に申込みの人の註文を三行に縮めて受付けるのだ。浅草、松葉町カフエードラゴン、と云うのが麗人求むなのだから、私は色々な事を空想しながら受付ける。
かんかんと陽の照る通りを、美しい女達が行く。私はまだ洗いざらしたネルを着ている。暑くて仕方がないけれど、そのうち浴衣の一反も買いたいと思う。
眼の前のカフエーライオンでは眼の覚めるような、派手なメリンスを着た女給さんが出たりはいったりしている。世の中には、美しい女達もあるものだと思う。まるで人形のようだ。第一等の美人を募集するのに違いない。
こうした賑やかな通りは、およそ、文学と云うものに縁がない。金さえあれば、いかなる享楽もほしいままなのだ。その流れの音を私は天幕の中でじいっとみつめている。