Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
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川添いのその天理教の本部は、いかにも涼しそうに庭に水が打ってあって、楓の青葉が、爽かに塀の外にふきこぼれていた。二人の婆さんは広い神前に額ずくと、やがて両手を拡げて、異様な踊を始めだした。
「お国はどちらでいらっしゃいますか?」
白い着物を着た中年の神主が、私にアンパンと茶をすすめながら、私の侘しい姿を見てたずねた。
「別に国と云って定まったところはありませんけれど、原籍は鹿児島県東桜島です。」
「ホウ……随分遠いんですなあ……」
私はもうたまらなくなって、うまそうなアンパンを一つ摘んで食べた。一口噛むと案外固くって粉がボロボロ膝にこぼれ落ちている。――何もない。何も考える必要はない。私はつと立って神前に額ずくと、そのまま下駄をはいて表へ出てしまった。パン屑が虫歯の洞穴の中で、ドンドンむれていってもいい。只口に味覚があればいいのだ。――家の前へ行くと、あの男と同じように固く玄関は口をつぐんでいる。私は壺井さんの家へ行くと、ゆっくりと足を投げ出してそこへ寝かしてもらった。
「お宅に少しばかりお米はありませんか?」
人のいい壺井さんの細君も、自分達の生活にへこたれてしまっているのか、私のそばに横になると、一握の米を茶碗に入れたのを持ってきて、生きる事が厭になってしまったわと云う話におちてしまっている。