Japanische Klassiker mit Furigana
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しんぱん ほうろうき
新版 放浪記
林 芙美子
Lesen Sie 新版 放浪記 (しんぱん ほうろうき) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 247.330 Zeichen · 497 Bildschirme
私は息づまるような切なさで感心している。弱い私、弱い私……私はツバを引っかけてやるべき裏切った男の頭を考えていた。お話にならない大馬鹿者は私だ! 人のいいって云う事が何の気安めになるだろうか――。
(十月×日)
偶と目を覚ますと、俊ちゃんはもう支度をしていた。
「寝すぎたよ、早くしないと駄目だわよ。」
湯殿に二人の荷物を運ぶと、私はホッとしたのだ。博多帯を音のしないように締めて、髪をつくろうと、私は二人分の下駄を店の土間からもって来た。朝の七時だと云うのに、料理場は鼠がチロチロしていて、人のいい主人の鼾も平らだ。お計さんは子供の病気で昨夜千葉へ帰って留守だった。――私達は学生や定食の客ばかりではどうする事も出来なかった。止めたい止めたいと俊ちゃんと二人でひそひそ語りあったものの、みすみす忙がしい昼間の学生連と、少い女給の事を思うと、やっぱり弱気の二人は我慢しなければならなかったのだ。金が這入らなくて道楽にこんな仕事も出来ない私達は、逃げるより外に方法もない。朝の誰もいない広々とした食堂の中は恐ろしく深閑としていて、食堂のセメントの池には、赤い金魚が泳いでいる。