Japanische Klassiker mit Furigana
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ほしのくんのにるいだ
新版・星野くんの二塁打
吉田 甲子太郎
Lesen Sie 新版・星野くんの二塁打 (ほしのくんのにるいだ) von 吉田 甲子太郎 (よしだきねたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 10.945 Zeichen · 22 Bildschirme
」
といいかけて、光吉はふと口をつぐんだ。
「お正月の洋服」ということばが、つめたい風のように心をかすめたのだ。かれはつぎだらけの自分の洋服を見た。ズックのくつは、ちんぼつしかけたボートのようにへしつぶれて、先のほうから指がのぞいている。これがあとにもさきにも貧しいかれのただ一まいの着物、ただ一足のくつだった。拝賀式のはれの壇上にあがるにも、これよりほかに着るものも、はくものもないのだ。
かれの足は急にのろくなった。内藤はかまわずしゃべりつづける。
「ねえ、こんどの式には、これまでにないみたいな演説をやってくれよ、うんとがんばって――。」
「うん、やるよ。」
だが、光吉の声はさびしくしずんでいた。
内藤とわかれて家のほうへあるきながら、光吉はいろいろと考えた。自分がもし代表をことわれば、中条が出る。自分のずばぬけて大きいからだが、このやぶれ洋服で壇の上に立つすがたと、あのキチンとしたりっぱな中条が壇の上へあがったすがたとが見える。
今までだって、こんなうすぎたないなりをした代表が出たことはなかった。なにしろ、だいじな式なのだからと思うと、光吉はこんどの代表は中条にゆずるほうが学校のためであり、クラスのためではあるまいかとうたがうようになっていた。