Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゃくしょこくばなし
新釈諸国噺
Lesen Sie 新釈諸国噺 (しんしゃくしょこくばなし) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.562 Zeichen · 179 Bildschirme
」蛸は駕籠に乗って峠を越したかったのである。
「やっぱり、馬のほうがいいでしょうか。」勝太郎には、どっちだってかまわない。
「なに、馬?」馬は閉口だ。とんでもない。「馬も悪くはないが、しかし、まあ一長一短というところだろうな。」あいまいに誤魔化した。
「本当に、」と勝太郎は素直に首肯いて、「人間も鳥のように空を飛ぶ事が出来たらいいと思う事がありますね。」
「馬鹿な事を言っている。」丹三郎はせせら笑い、「空を飛ぶ必要はないが、」駕籠に乗りたいのだ。けれどもそれをあからさまに言う事は流石に少しはばかられた。「空を飛ぶ必要はないが、」とまた繰返して言い、「眠りながら歩く、という事は出来ないものかね。」と遠廻しに謎をかけた。
「それは、むずかしいでしょうね。」勝太郎には、丹三郎の底意がわからぬ。無邪気に答える。「馬の上なら、眠りながら歩くという事も出来ますけれど。」
「うん、あれは。」あれは、あぶない。蛸には、馬上で眠るなんて芸当は出来ない。眠ったら最後、落馬だ。「あれは、また、野暮なものだ。眼が覚めて、ここはどこか、と聞いても、馬は答えてくれないからね。」駕籠だと、駕籠かきが、へえ、もうそろそろ桑名です、と答えてくれる。