Japanische Klassiker mit Furigana
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しんしゃくしょこくばなし
新釈諸国噺
Lesen Sie 新釈諸国噺 (しんしゃくしょこくばなし) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.562 Zeichen · 179 Bildschirme
かなわなくなれば、急ぎ読本を取出し、奥に聞えよがしの大声で、徳は孤ならず必ず隣あり、と読み上げ、下男の九助は、破れた菰をほどいて銭差を綯えば、下女のお竹は、いまのうちに朝のおみおつけの実でも、と重い尻をよいしょとあげ、穴倉へはいって青菜を捜し、お針のお六は行燈の陰で背中を丸くしてほどきものに余念がなさそうな振りをしていて、猫さえ油断なく眼を光らせ、台所にかたりと幽かな音がしても、にゃあと鳴き、いよいよ財産は殖えるばかりで、この家安泰無事長久の有様ではあったが、若大将ひとり怏々として楽しまず、女房の毎夜の寝物語は味噌漬がどうしたの塩鮭の骨がどうしたのと呆れるほど興覚めな事だけで、せっかくお金が唸るほどありながら悋気の女房をもらったばかりに眼まいするほど長湯して、そうして味噌漬の話や塩鮭の話を拝聴していなければならぬ、おのれ、いまに隠居が死んだら、とけしからぬ事を考え、うわべは何気なさそうに立ち働き、内心ひそかによろしき時機をねらっていた。やがて隠居夫婦も寄る年波、紙小縒の羽織紐がまだ六本引出しの中に残ってあると言い遺して老父まず往生すれば、老母はその引出しに羽織紐が四本しか無いのを気に病み、これも程なく後を追い、もはやこの家に気兼ねの者は無く、名実共に若大将の天下、まず悋気の女房を連れて伊勢参宮、ついでに