Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

たびだち

旅だち

豊島 与志雄

Lesen Sie 旅だち (たびだち) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.059 Zeichen · 24 Bildschirme

Aozora Bunko

――ばかばかしい。何もかも軽蔑して、打ち捨ててしまおう。

敏子は子供のような気持ちに還りました。そして旅行の仕度をはじめました。簡単な手廻りの品だけで充分でした。

五月五日の朝、敏子は母にはっきり返事をしました。

「お母さま、御心配かけましたけれど、副島の伯母さまの方へは、あのお話、断って下さいませんか。どう考えても、気が進みませんのよ。」

母はもう諦めていたというような表情をして、それでも深く溜息をつきました。

兄が側で聞いていて、感心したように言いました。

「調子は甘ったれていて、文句はきっぱりしていて、上出来だな。」

敏子は兄を睨んでみせました。

「お兄さまこそ、それが分ったのは上出来だわ。」

兄は笑い、母は呆気にとられていました。

「旅行の仕度はいいのかい。」

と兄は尋ねました。

「ええ洋子さんが、汽車の切符から何もかも、すっかり整えて下すったわ。帰りには、洋子さんと同じように、ヤマメの干したのをおみやげに持ってくるわ。」

そして敏子は、青い空と日の光りとを仰ぎ見ました。