Japanische Klassiker mit Furigana
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たびのたびのたび
旅の旅の旅
正岡 子規
Lesen Sie 旅の旅の旅 (たびのたびのたび) von 正岡 子規 (まさおかしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.120 Zeichen · 10 Bildschirme
旅の旅その又旅の秋の風
国府津小田原は一生懸命にかけぬけてはや箱根路へかかれば何となく行脚の心の中うれしく秋の短き日は全く暮れながら谷川の音、耳を洗うて煙霧模糊の間に白露光あり。
白露の中にほつかり夜の山
湯元に辿り着けば一人のおのこ袖をひかえていざ給え善き宿まいらせんという。引かるるままに行けばいとむさくろしき家なり。前日来の病もまだ全くは癒えぬにこの旅亭に一夜の寒気を受けんこと気遣わしくやや落胆したるがままよこれこそ風流のまじめ行脚の真面目なれ。
だまされてわるい宿とる夜寒かな
つぐの日まだき起き出でつ。板屋根の上の滴るばかりに沾いたるは昨夜の雲のやどりにやあらん。よもすがら雨と聞きしも筧の音、谷川の響なりしものをとはや山深き心地ぞすなる。
きょうは一天晴れ渡りて滝の水朝日にきらつくに鶺鴒の小岩づたいに飛ありくは逃ぐるにやあらん。はたこなたへとしるべするにやあらんと草鞋のはこび自ら軽らかに箱根街道のぼり行けば鵯の声左右にかしましく
我なりを見かけて鵯の鳴くらしき
色鳥の声をそろへて渡るげな
秋の雲滝をはなれて山の上
病みつかれたる身の一足のぼりては一息ほっとつき一坂のぼりては巌端に尻をやすむ。