Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
皆が道の暗さを云い合っている所へ乗り込んで来て、オールを動かし出した久慈に、矢代は、
「東野さんは俳句を作ってたんだって。ひとりならそれもいいな。」と云って笑った。
「俳句か、ここで俳句なんてどんなの出来るんです。」
と久慈もやや嘲笑の口調だった。
「白鳥の花振り別けし春の水。」
真面目な顔で句だけを投げるように東野は云ったので、一同一寸黙って考えていたが、突然、
「いや、やられた。」
と久慈は頓狂な声を上げた。
矢代は思わぬ不意打を食ったような苦笑ながらも、今は東野の諧謔にボートの動揺も気持ち良かった。ボートが岸を放れていくにつれ岩を打つ滝の音が聞えて来た。
「あそこよ。滝」
とアンリエットは垂れ下った樹の下を指差した。
「じゃ一つ、僕も俳句を作ろうかな。」と久慈は云ってオールを廻しながら、「えーと、ブロウニュの、滝も無言を破りおり。どうです東野さん。」
「そんな句ないよ。」
と矢代は云うと皆どっと笑った。久慈はまた、
「それじゃ、これやどうじゃ。」
と小首を一寸かしげてから、「ブロウニュのオール少しく鳥追えり。」
ふざけていた久慈の句も幾らか緊って来たその変化に、