Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
僕はもう舌を噛みたくなるばかりだ。」
東野は黙って広場を眺めながらまた俳句を作っていた。突き立っている三人の暗黙のうちにひしめき合う頭を、千鶴子はもう感じたと見え一人放れて歩いた。
「さア、行きましょうよ。」
「君は何んでも、さア行きましようだ。」
と久慈は腹立たしそうに云った。
「でもそうだわ。」
「何がそうです。」
「あたし、もう眠いんですもの。」
「眠る方がいいですよ。さア行きましょう。」
と東野は云って歩き出した。一同は東野の後からぞろぞろついていった。しかし、久慈だけは手に引っ掴んだ帽子を自棄に振り振り駄駄っ子のような声で、
「もう、僕は日本へは帰らん。」と云った。
「二十年ここを見ていると、小便をここへしたくなるそうだよ。」と矢代は云った。
「ふん、そ奴は猫だろう。」
「僕が東京市長なら、東海道の松の大木を銀座の真中から、神田までぶっ通してずっと植えるね。あの通りに松葉が散ればどんなに綺麗か分らないよ。雄松だけは外国にはないからな。」
矢代はそう云いながらも東にチュイレリーの宮殿を置き、西はサンゼリゼの大公園に接し、北にはマデレエヌの大寺院、南に河を対してナポレオンの墓場を置いたこのコンコルドの広場の美しさには、流石云うべき言葉も出なかった。