Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

いつの間にか違う種族の人間も、東京の街角でバスの来るのを待ち合う顔と同じに見えている二人だった。

山の中腹でケーブルに乗り換え、さらに山頂まで二度ほどのレールを変えた。ケーブルの下は花の野の斜面であった。街が次第に低く沈むに随い、横を流れる河が渓間に添いウィーンの平野の方へ徐徐に開けて行くのが見えた。終点の駅は旅宿をもかねていた。人人はそこのホールで皆足をとどめて眺望を楽しみ、そこからまた下へ降りるのであったが、矢代たちは駅から放れてまた頂の方へ登っていった。もう後からは誰も来なかった。

樹の一本もない山路である。路の両側には氷のように塊った残雪が傾いて流れていた。雪のない所は地を這ったねじれた灌木が満ち、一面に馬酔木の花のような小粒な花の袋をつけていた。

「あらあら、牛がいるわ。」

と千鶴子は云って谷の方を覗いた。

一面のサフランの花を麓から押し上げている牧場を登って来た牛である。牛は首の鈴を鳴らせつつひとり雪の中を歩いていた。氷河の溶けて流れる水音がときどき雨かと矢代の耳を引いた。靴底に痛みを覚える石ころ路にかかると、スイスの山の方に流れる雲もだんだんと低くなって来た。