Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
「あら、そんなところにいらしったのね。」
と千鶴子は笑いながら立って矢代の傍へよって来た。昼間わたって来た氷河の星の光りが白く牙を逆立てて流れていた。
次の日、矢代たちがホテルへ戻って来たとき、パリの久慈から矢代あてに手紙が来ていた。
君がいなくなってから、もう幾日になるか忘れるほどである。とにかく、少し先き廻りをしたかもしれないが、もうインスブルックへ君は出たころであろう。あれ以来、パリには罷業が頻発して来た。これは有史以来の出来事のこととて、われわれには最も興味深い千載一遇の好機に会ったわけだ。これを観察する機会を逃すことは、大きく云えば、歴史の一頂点を見脱す結果になることである。君も出来るなら直ぐこちらへ引き返して来てはどうであろうか。君とはパリ以来論争ばかりで日を費したような羽目になったが、お蔭でこのごろ君との争いもだんだん僕の役に立って来たのを感じる。君と会えばまた前のように争いつづけることと思うけれども、それも今はやむを得ない。それから千鶴子さんが君の後からそちらへ行くような話であったから、もう今ごろは会ったかもしれないが、塩野君その他の人人は何か急用の出来たような話もあり、あまりそちらに長く落ちつかぬよう千鶴子さんに伝えてくれ給え。