Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
もう暫く食べないんですよ。」
「じゃ、鰈は嫌いじゃないんだな。」
「嫌いじゃない。鰈の薄味は好きですよ。」
「じゃ、まア好きとしときなさい。つまりそれだよ。」
と東野は云って煙草に火を点け、敵をゆるゆる料理するように遠方から締めて来た。東野よりずっと若い久慈は、論敵の構想力の廻転が妙な風に食い物から来たのを感じると、いよいよこれは敵を誤ったと悟り始めた。
「僕はこのごろ人を見ると、ひっかかりたくって仕様がないんだが、あなたも少し神経衰弱じゃないんですか。云うことがどうも変だ。」
「何が変だ。君は鰈か饂飩かと考えて、饂飩にしただろう。まア、そんなことはどっちだって良いようなものの、ひとつ饂飩も鰈も二つとも食ってみたら、どうですか。饂飩の栄養価と鰈の栄養価とを分析して食わなくちゃ、腹の足しにならぬと君は云うのでしょう。しかし、そんなことを考えて食っていちゃ、せっかくの美味さも不味くなって、食った甲斐がないと考える頭もあるわけだ。」
ははアそれが東野の云いたかった中間かと思うと久慈はげらげら笑い出した。
「それやあなたも神経衰弱だな。右も左もむしゃむしゃ神経衰弱で食おうというんだ。