Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
と矢代は云って急に地下鉄の階段の真ん中で立ち停ると、
「これや、炭酸ガスばかりじゃないか。」と突然叫ぶように云った。東野は天井を仰いで立ちはだかっている矢代の袖を引きながら、
「まア良かろう。行こう行こう。人間は見るだけは見とくもんだ。」と云いつつメトロに乗った。
「モンマルトルで一つ、軽機関銃で撃ち合いするところを見よう。」
久慈が二人の先に立って座席を探しているとき車は動き出した。
メトロを出たモンマルトルの一帯は、薄靄の底でゆるく傾き流れた光りの海に見えた。立ち連んだ遊び場もモンパルナスとは違いここは古風な潤おいを湛えている。三人は街の賑いから放れて頂きの方へ高まる坂路を登っていった。陶器のような割石を詰め並べた道路も凸凹のままによく辷った。青い瓦斯灯の軒から出ている屈曲した坂路には、もう人通りは誰もなかった。ときどき接吻したまま立木のようにいつまでも動かない黒い人影の傍を通る度びに、ぴたりと三人は話をやめた。
「西条八十という詩人があるでしょう。あの人はここを夜一人歩いていたら、後ろから突然首を締められて、三十分ほどしてから気がついたら、自分がここの坂の真ん中で倒れていたとか云ってらしたな。