Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
すると久慈は突然矢代の傍へよって来て首をかかえた。
「おい、チロルはどうだった。」
今ごろ初めて旅のことを訊く久慈に矢代も返事のしようもないらしく、「うむ。」と云っただけで後は黙った。
「うむか。まア、そう云ったところか。」
「氷河はいいよ。」
「氷河のことじゃないよ。」
「じゃ、何んだ。」
「お前は馬鹿な奴だ。あれほど忠告したじゃないか。結婚をしなさい結婚を。君の日本主義は幼稚だけれども、君は僕にとっちゃかけ替えのない人だ。千鶴子さんと結婚してしまいなさいよ。じゃなくちゃ、日本へ帰ったら、きっと君とあの人とはもう会うことはないにちがいない。」
「僕の日本主義が何ぜ幼稚だ。日本人が日本主義になるのあたり前の話だろ。」
と矢代は久慈の廻している腕を掴んで顔を見た。
「幼稚だよ君のは、そんなものなんか、ここで威張ってみたって、いったいこのパリで誰が真似してる。」
「真似の出来る奴が、誰がいるのだ。」
「こ奴。」と云うと、久慈は矢代の首を揺り動かした。
「真似の出来ん品物を売り出して、成功したためしがあったか、真似さしてこそ豪いんじゃないか。」
「じゃ、君は何んの真似してるんだ。