Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

「フランスは田舎のどこへ行っても雑草というのがないからな。屋根の上へ雑草を植えてそこを野原にしょうという趣向なんだ。これだけ日本と違うんだから、どうも僕らは追っつけたものじゃない。」

久慈は洋服を着替えてしまうと寝台に腰かけ、さて今日はこれからどこへ行こうかと考えた。

「へんな国ね、フランスって。」

「へんなことはないさ。終いにはどこだってこうなるんだから、まア登り詰めた超現実主義はこういうものだと思えば、何もかも面白い。矢代はあれは、面白さを理解しようとしないんだからな。あれもまたどうしてあんなに、殺風景な男になっちまったものだろう。」

「そうかしら。」

千鶴子は不平げに低く云ってまたぼんやりと屋根の上の花菖蒲を見つづけた。

「そうかしらでもなかろう。悪ければまアお赦しを願うが、――どうしてまた君は矢代を動かさないんです。チロルまで後を追っていって、結婚の準備一つもして来なかったなんて、何んだ、他愛もない。」

ずけずけと久慈の云うのに千鶴子はもう心を動かされることもなく眼を細めたきり黙っていた。

「僕は君さえ介意わないならいくらだって骨折るけれども、どっちも何も云わないのだから、押してみようがない。