Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
」
と久慈は呟きながらリラの方へまた歩いた。
「もう戦争さえ起らなければどんなことにでも賛成するって、ホテルのお婆さんあたしに云ってたわ。そのお婆さんは面白いのよ。あたし何も訊きもしないのに、あなたはここをパリだと思っちゃ間違いだ。こんなパリはない。もうパリは無くなったっていうのよ。よほど前は良かったらしいのね。何んでもヨーロッパ大戦のとき、アメリカの軍隊がここへ駐屯してから、すっかりもうパリは駄目になったっていうの。どうしてでしょう。」
「それや、老人は思い出だけで生きているからだ。これはこれでまた充分に意義はあると思うな。」
突然一本の煙突から吹きあがって来た雀の群れを眺めて久慈は云った。リラの前の広場へ来たとき、彼はそこで買った二枚の新聞を丸め、ある建物を指差した。
「去年だか、あそこの建物の会館へゴルキイが来て講演をしたことがあるんだが、群衆がこの広場いっぱいに集ったら、突然警官隊が騎馬で殺到して来て群衆を蹴散らして、一人も講演を聴かせなかったというね。そのときは恐かったそうだ。今年の巴里祭はもう一層凄いということだが、あなたもそれまでいなさいよ。