Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
あると思うのは、なるほどこれも東野の云ったように他人があると教えたからかもしれぬ。
「畜生。」
頭がばらばらになっていく先き先きに、東野の頭がも早や先廻りをして立っている。もう今夜は眠れない。
矢代と真紀子が二人並んでテラスへ来ても久慈は黙って挨拶もしなかった。
「東野のおやじ。来んかな。やっつけてやるんだが。」
「何アに、それ御挨拶?」
と真紀子は云って久慈の横へ腰を降ろした。
「どうも腹が立ってむしゃくしゃしてるんだ。」
「どうしてそんなに腹が立つの。」
ふと久慈は真紀子を見ると、ウィーンばかりにいたせいかまだ外国擦れのしない真紀子の馴馴しさが、日本のインテリ夫人を見るようなある懐しい古さを匂わせて来るのだった。千鶴子を見ても感じぬ危い溶け崩れるような温暖な情緒が、この良人を離縁して来た夫人の周囲に纏りついていて、一重瞼の一種独特な落ちついた自然さでテラスに異彩を放っている。
「久しぶりだなア。」
と久慈は誰にも分らぬことを口走ると、パリへ来て以来初めて自然に還った瞼の閉じるような思いがするのだった。註文のコーヒーが来たとき久慈は真紀子の茶碗に砂糖を摘んで二つ落した。