Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

そこで暫くぼんやり後ろを向いて待っていたが、一向に矢代たちの追って来そうな気配はなかった。いつの間にか来ている皎皎として青い広場の中で、老いた古い女神の彫像だけ周囲の噴水の飛沫を浴びて立っていた。

久慈はゆるく車をもと来た方へ女神を廻らせていった。解き放されたような気怠い疲労の眼で女神の顔を見ているうち沈み加減なその横顔の美しさに彼は胸が不思議に波立つのを感じた。すると、突然、あれはお母さんの心配している顔だと思った。彼は駄駄をこねる度びにあのような憂いげな眼差しをよくした母を思い浮べながら、ケエドルセイまで引き返した。しかし、そこにも矢代たちはもういなかった。久慈はもう一度あたりを探してから車を真直ぐにモンパルナスの方へ走らせていって、いつものキャバレの前で車を降りた。踊場とは別室の酒場の椅子には人人の姿がまばらだった。久慈は雀のように台に連って饒舌っている踊子たちの中からなるべく母に似ていそうな顔を自然に探し、その傍へよって行った。

「君、なんて云うの。」

「ルル。」と女は答えた。

「ルルか。ルル、ルル。」

と久慈は呟きながら傍のダイスをとって物憂げに賽を振った。