Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
」と矢代は云った。
「そう。それは良かったわ。」
真紀子は一寸黙って舞台の方を行儀よく見ていてから、突然矢代の方を向き返った。
「あのね、あたし、終りまでいなくちゃいけないかしら。でも、もういいでしょう。お役目果したんですもの。」
「じゃ、帰りますか。いつでも僕は帰りますよ。」
「あなたはいいでしょう。あたしね、高さんと今夜これから踊りに行くお約束したのよ。丁度時間もこれからだといいんですもの。」
自分に真紀子の行動を止める権利はないと矢代は思ったが、それでも一緒に来たからは離れて帰るのは気持ちが悪かった。殊に良人から離別して来た養子娘の気ままな真紀子を、高と一緒に踊場へ突き放す危さは、千鶴子とピエールとの危さの程度ではなかった。九分が九分まで先ず中国人の巧みな術中に陥ち入る危険があると見なければならぬ。
「駄目だな、行っちゃ。」
「どうして駄目なの。」
「どうしてって、何んとなく駄目だ。」
「でも、もうお約束したんですもの。」
「じゃ、僕も行こう。」と矢代は云って時計を見た。もう十二時近かった。丁度その時舞台では幕が上り、胃病のマルグリットが明け方の白白した部屋の寝台で眠っていた。