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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

弱った弱った。」

「じゃ、もう随分お撮りになったんですのね。」

と真紀子は初耳のように感心して訊ねた。

「いや、外だけ二百枚ばかりです。一般の通路は平凡で、写真にならんのですよ。禁止区にばかりいい所があるもんだから、今日もこれから一つ婆さんにこっそり頼んで、裏門から中へ這入る鍵を借ろうと、実は謀らんでるところなんです。事務所へ行っても、一ぺんに断られたんですよ。婆さんもなかなか落ちん。」

「苦労だね。しかし、そいつは駄目だろ。」と久慈は云った。

「お堂の中を分らんように、お祈りしてるようなふりをして、やっと三枚とったことがあるが、何しろ暗い上に十二に絞って、四十秒の手持ちだからみな駄目さ。裏門からは婆さん十五年も門番をしていて、一度もまだ這入ったことがないのだそうな。恐らく一人も這入ったものはいないだろうと、婆さんは云うんだがね。そこを何んとかして一つと、虎視眈眈としてるんだ。」

「それや、あそこなら化物が出るぞ。」と久慈は笑って云った。

「出るかもしれんね。怪獣と棲んだ背虫男の幽霊ぐらいはいるだろうな。じゃ、一寸行ってみてくる。」

塩野の姿が門の方へ消えたとき、不可能な企てに憑かれてしまっている彼の熱心さをまた三人は笑った。