Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
「お前、毎晩ここへ来なさい。そうすると俺も来るよ。」
久慈はそう云って頭を撫でているうちにふと千鶴子のことを思い出した。行く手の鋪道を集めている広場から左に折れた所に千鶴子のホテルがあった。彼は通りから見えるその部屋の窓の下まで行きたくなってその方へ歩いていったが、犬も暫く後からついて来た。
「もう帰れよ。また明日明日。」
久慈は振り返り振り返りして犬から遠ざかった。しかし、今夜に限りどうして千鶴子の純潔さがこのように美しく見えて来たのか、考えれば不思議だった。灯の消えている千鶴子の部屋の窓が五階の上に見え始めると、胸がそわそわして来て胸を一寸揺ってみた。
「どうも変だ。こんな筈はないんだが。」
とこう彼は呟きながら下から上を仰ぎつづけた。これや恋愛じゃないか、馬鹿馬鹿しいとまた思うと、引き返そうとしたが、丁度良い具合に手ごろなベンチが広場に見附かったのでそこへ腰を降ろして煙草を吸った。窓を眺めながらも、久慈は、完全に慕い合っている矢代と千鶴子の横からこうして自分の羨望している図を思い描き、ひとり手出しの出来ぬ悔恨に淋しくなって来るのだった。
「どうもあ奴たちの恋愛は立派だ。