Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
しかし、久慈は、矢代こそ千鶴子の帰りをどんな心で見送っているものかと一寸推しはかってみたものの、頑なほど不思議と意志を見せぬ矢代のこととて、外から想像したほどの変化もないにちがいないと簡単に興ざめてしまうのだった。
「ロンドンへはそのうち僕も行ってみたいと思っているんだが――そのときはもう千鶴子さんいないんだな。」
久慈のそう云うのに矢代は、千鶴子の帰る話題を切りとるような強い調子で云った。
「どうもパリ祭を待つためだけに僕らはこうしているのだが、考えればつまらないね。何かその日に起ったところで、フランスの事じゃないか。馬鹿馬鹿しい。」
「しかし、起ることは見ておいたっていいよ。損にはならんさ。」
と久慈は云った。
「損にはならんが、左翼と右翼の衝突など起ったところで、少しばかり血が流れるか、さもなきゃ、どっかへまた吹出物みたいに潜り込んでは出るだけだろ。」
「ところが、それが分らないんだからね。君がパリ祭を見たくなきゃ、千鶴子さんとロンドンへ行けよ。後でヒステリ起されちゃ、お相手するのかなわないぞ。」
斜めに射した光線を額に受けたまま矢代はただ笑ったきりだったが、千鶴子と別れる矢代の淋しさなど久慈にはもうあまり響くことではなかった。