Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
千鶴子と真紀子が現れると、うるみを帯んだ繊細な肌を鳳の眼のように涼しく裂いて跳ねている瞼など、一きわ目立って人の視線を集めるのだった。
矢代は近よって来たボーイを顎でさして云った。
「このボーイだよ、この男、一昨日マネージャーにここで詰めよってストライキの膝詰談判をしてたんだが、今日はどっちもけろりとして仲がいいね。習慣というものは、喧嘩にまで形式を与えて来ているのかな。」
久慈は何も答えずそのまま階段を降り地下室の化粧室へ這入った。掃除婦が鏡に向ってひとり髪を梳いている閑そうな姿の上に電灯がついていた。彼は用をすませ、皿に金を入れようとしているとき千鶴子が上から降りて来た。久慈は財布に細かいのが見附からなかったので千鶴子に借りながら、
「君、今日はもうどこへも用がないの。」と訊ねた。
「ええ、これから版画のお土産でも買いに行こうかしらと思ってたとこなの。ね、一緒にお見立てして下さらない。でも、真紀子さんにいけなければ、御遠慮してちょうだい。」
白銅をハンドバッグの中から出し、千鶴子はもうみな分ってるのよときめつけるような冷たさで、ぴちりと皿の上に白銅を置いた。