Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
」
と矢代は塩野に云って笑った。フランスのことをどんなによく知っているものでも、長くここにいるものには頭の上らぬ先輩意識が起り、自然と日本人は圧えられ謙遜になるのだったが、矢代は、その先輩を気取っているものさえ、どこまでフランスを知っているものか、怪しいものだと思った。日本人が他国を見るのに自分の中から日本人という素質を放して見るということは、どんなことをするものかよく分らず、またそのようなことは人間に出来得られることでないと、今もなお思い通していることに変りはなかった。
「この中田さんは明日ドイツへ行かれるんだが、あなたはいつです。」
と塩野はまた矢代に訊ねた。中田はある大学の政治学の教授で、特にこのパリ祭を見たくてロンドンから渡って来たのである。この人は闊達明朗な笑顔のうちにも、学生時代からまだ曲って来たこともない素朴剛健な風貌があったので、定めし今日の左翼のこの旺盛さと、右翼の民族意識との対立は、学問として好個の見学材料である以上に、悩ましい問題も解き難く頭を襲っているに相違ないと矢代には感じられた。しかし、見渡したところ、それは中田ばかりとは限らなかった。