Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

真紀子が来てから少し遅れて千鶴子が来た。千鶴子は、ほッと洩れる息を押し込めたような気の張った快活さで、

「明日帰るんだと思うと何んだかそわそわするのよ。そのくせ何もすることないの。」

と云って腰を降ろそうとした。久慈はすぐこれから行進のある通りまで車で行こうと云って、自動車を呼びとめに立った。四人は気忙しい思いのまま車に乗った。

ナシオンの近くの通りまで来かかったとき、早くも見物の群衆で車は動かなくなった。五列ずつほど腕を組み合せて行進して来る隊伍は、所属団体に随ってそれぞれ幟の色を違えていたが、中でも赤や白が一番に多かった。それも労働団体ばかりとは限らず、左翼の政府を支持している文化団体の尽くが混っているといっても良いほどだった。中には自分の子供を肩に乗せて歩いて来るものもあり、少年も少からず混っていた。

「あら、ジイドの写真まで出て来たわ。」

と真紀子は云って笑った。見物の群衆は十重二十重に通りを埋めているので、矢代たちのいる外側からよく行進が見えなかったが、染屋の晒布のような無数の幟の進んで来る中に混った出し物には、工夫をこらしたものも多かった。