Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
「どうなるんでしょう。大丈夫かしら?」
と傍へよって来た千鶴子や真紀子たちは、久慈や塩野を気遣う風に云って横から覗いた。
「大丈夫だとも。どっちもカルトを持ってるんだもの。」
矢代がこう云っているとき、塩野だけはもう赦されて包囲の外へ出されていた。彼はまだ残っている久慈を見るとまた警官の中へ割り込んでいって、暫く久慈のことを弁明していた様子だったが、間もなく二人は無事揃って外へ出て来た。
「やア、ひどい目に会った。」
塩野は鼻だけ延び出るような好人物の笑いを立てながら、頭をかきかき矢代たちの方へ近よって来ると、
「とうとうやった。」
と云ってはまたぼんやりと後ろを見た。
「どうだ。痛むのか。」
矢代は久慈の抑えている鼻のハンカチを見て訊ねたが、
「いや、何んだか分らん。」
と云って、久慈はひとり不機嫌そうにトリオンフの椅子の方へ先きに立って歩いた。
道路の両側に遠く散ってしまった人波は、降り込んで来た雨にみなどこかへ姿を消して見えなくなった。警官の包囲の中では、検束されたものがそれぞれ引き立てられ空虚になったが、後に残った銃剣の警官部隊だけ、血のところどころに流れている雨の中に塊ったまま動かなかった。