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Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

東野は子供が落っこちないように、片手で子供の脇腹を抱いていたが、やはり身動きもせず、寺院の門からぞろぞろ出て来る黒い服装の老婆の群れを眺めつづけた。

矢代は暫く立って黙って見ていると、子供の廻している豆自動車は銀座の夜店でよく見かけた日本製のものだった。

「どこの子です。この子。」

と矢代は不意に訊ねて東野の横へ腰かけた。

「どこの子かね。僕んとこの子供と同い年らしいから、遊んでみてるんだが、こ奴僕をどっかの土人だと笑ってるらしいんだよ。まだ顔も見よらん。」

東野は笑いながらそう云って胸に垂れた子供の足を掴み、片手を胯の間から背へ廻すと、指先で牛肉を圧してみるような手つきで、

「なかなかこの子の肉は強靭だよ。この調子だと、これやフランスもまだまだ大丈夫だな。」

と云った。

子供は二人の方を見ようともせず、東野の頭の上で、

「赤、行け、そら行け。」

などとまた云いつづけせっせと自動車を廻していた。その前の寺院から出て来る老婆の群れもまだ続いていたが、薄明りの中をわが家へ帰ってゆくそれらのどの顔も笑っているのは一人もなかった。

矢代はしばらくして空腹を感じたので東野を食事に誘ってみた。