Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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りょしゅう

旅愁

横光 利一

Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme

Aozora Bunko

それが出来るか出来ないかは別としても今に憐み合うような日の来るのを待つのは不快だった。実際考えれば何ぜ憐み合うのか、この理不尽なことも残酷に襲って来るだろうと思うと、それが一層矢代には口惜しかった。こんな口惜しさが嵩じて来ると、ベルリンにいるときどきでも、その夜はもう彼は眠りがたかった。

しかし、何を云おうとも千鶴子はもう日本へ着いているにちがいなかった。指を繰ってみてもおよそ千鶴子の船は十日も前に横浜へ着いているころだった。

「なかなか眠れませんね。」

矢代は上の寝台から、直角に延びた下の寝台に寝ている南の顔を覗いて云ってみた。

「もう、眠る暇もありませんよ。すぐ国境でしょう。」

南は深い底に沈んだままにこにこして答えた。

間もなく日本の空気に触れるのだと思うと、矢代は胸騒ぎがして来た。いつも停ってばかりいて、毎日同じ所から動いたことのないように思われていた平原の汽車だったが、やはり相当に早い速力で走っていたのだと、ようやく今ごろになって分って来たような気持ちだった。空腹に濃い茶を飲み過ぎたような早い動悸を感じ、ときどき矢代は起き上ってみた。が、やはりどう仕様もなくまた仰向きに倒れた。