Japanische Klassiker mit Furigana
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りょしゅう
旅愁
横光 利一
Lesen Sie 旅愁 (りょしゅう) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 576.941 Zeichen · 1138 Bildschirme
しかし、これで自分のどこかにやはり元気の無さそうな部分が見えるかもしれぬと思うと、その原因が千鶴子のことだとは分らぬながらも幸子だけは、外国での男の間に生じる出来事など想像出来るにちがいないことであれば、さきから執拗く表情を追って来るのも、そのあたりの不審が元であろうと矢代には思われた。
「もっとも、興奮が醒めると多少は元気も無くなるがね。」
矢代は妹の気持ちを早く他の事に反らしたくてそんなに云った後から、都合好く、平壌で不時着したときに会った妓生の話を思い出したのでそれを聞かせた。またその妓生が彼に洩した話は疲れて平壌へ降りたときの矢代には何より興味を覚えたことだった。
福岡まで大連から一飛びに飛ぶ筈だった飛行機が前方の風雨のため平壌で停ってしまった夜、矢代はここが妓生の産地だと聞かされていたのを思い出し、こういうときこそ朝鮮の歌を聴きたいと思って料理屋へ出かけた。そこは一流の料理屋で窓の下に大同江が流れていた。部屋には渋色の紙が敷いてあるだけだったが、同様に暗い隣室では彼には分らぬ二三の話声だけ高く聞えた。川水に灯火のない夜のためか、その声は洞の中に沈んだざわめきの酒声に聞え、ヨーロッパから帰って来て着いたばかりの矢代には、一帯の光景が荒涼とした暗の中に慰めに見えてひどく彼は寂しくなった。